INTERVIEW

株式会社NTSロジ

笠原史久社長

独自の定温輸送システムや物流ネットワークで首都圏の
物流をリードする「NTSグループ」の中核企業。

東京都

3

勤怠ドライバー歴

代表取締役 笠原史久社長

所沢事業 マネージャー補 斉藤祐樹さん

総合管理室 マネージャー補 建部順子さん

代表取締役 笠原史久社長

所沢事業 マネージャー補 斉藤祐樹さん

総合管理室 マネージャー補 建部順子さん

一人ひとりのスキルを高めて、
時代に応じて需要のあるモノを運ぶ。

NTSロジの略歴を教えてください。

笠原社長昭和46年7月に生まれた会社なので、今期(2023年)で創業52年目を迎えました。元々は東京・大阪間の出版物の幹線輸送と商品管理が主力業務でしたが、時代の変化と共に世間のニーズが変わっていく中で、今後何をすれば世の中の役に立てるかを考え、20年ほど前から食品関連の輸送や保管の業務に舵を切りました。

時代や景気の動きと共に「どんな世の中でも必ず需要のあるモノを運ぶ」という戦略のもと、現在では食品から医薬品まで、様々な業種の荷物を扱っています。NTSロジの最大の強みは、冷蔵・冷凍・中温・常温の温度管理によって、商品の鮮度や品質を守る「食品の定温輸送」です。今でも東京・大阪間の幹線輸送も一部行っていますが、メインとなるエリアは東京を中心とした首都圏です。

運送業では取り扱う荷物の種類によってノウハウが大きく異なります。業種の移行は大変だったのではないでしょうか?

笠原社長日々トライ&エラーの繰り返しでしたね。
業界独自の慣習について理解するところから始まるので、お客様からご指摘を頂くことがたくさんありました。例えば衛生管理が厳しい医薬品では、箱に手垢がついているだけでもクレームになります。出版業界ではそこまで気にすることはありませんでした。また、お菓子問屋の業界では、荷物を運ぶだけではなく倉庫の棚に商品を入れるまでがドライバーの仕事だということを知りました。ドラックストアの物流センターでは店舗別の仕分けが必要だったりと、知らないことだらけで最初は苦労しましたが、何でもやってみることが大切だと思い、社員が一丸となって前向きに取り組んできました。

新しいことに挑戦する時には、必ずミスや失敗が起きます。しかし大切なのは、そんな時にお客様に対して誠実に向きあい対応しているかどうかです。ミスや失敗をごまかしたり、嘘をついたりするのではなく、知らないことはしっかり学ばせていただき、誠実に向き合ってきたことがお客様からの信頼に繋がったと思います。挑戦し続け、経験を積み上げることで会社も社員も成長してきたのです。

社員は会社の財産。
教育とコミュニケーションで
お互いを高め合う職場環境に。

社員の皆さんが同じ姿勢で仕事に向き合ってきたからこそ、今のNTSロジがあるのですね。

笠原社長当社の最大の財産は、お客様のために誠実に向き合い必死に頑張っている社員です。一人ひとりが、仲間のため、人のために一生懸命に仕事に取り組んでくれています。そこで私自身も、肩書や経歴は関係なく、すべての社員とコミュニケーションを取るように心がけてきました。皆それぞれ考え方や成長の速度も違うので、型にはめずになるべく相手を尊重し、社員たちが今後どうなりたいかに耳を傾けるようにしています。

会社の財産である人を育てるためには、社員教育にも力を入れています。NTSロジのドライバーたちは、教習所を経営していたプロ中のプロの安全指導員から教育をうけることができます。運送会社でここまで高い水準のドライバー教育を受けられる会社はなかなかないだろうと思います。

その他にも、例えばドライバー同士で4~5人のグループを作って、お互いのスキルを高めていくための情報交換の場を設けたりもしています。インプットとアウトプットの両方を行うことで、より良いコミュニケーションが生まれます。

良質な教育を受けた質の高いドライバーが増えてくれれば、自ずと交通事故が減り、地域の安全も確保できるでしょう。一見遠回りなようですが、そうした小さな一歩一歩の積み重ねが、結果的に社会貢献につながると信じています。運送業の要である大切なドライバーなので、長く安心して働いていただけるように、NTSロジでは一人ひとりのドライバーと会社がしっかりと向き合える組織作りを心がけています。

ただ、グループ全体で500人の社員全員を社長が見ることは不可能ですし、60名いるドライバー全員をマネージャーが見ることも不可能です。そこで、当社では階層教育を取り入れました。例えば本日も隣の会議室では、現場からリーダーに昇格した社員が、人の上に立つために必要な知識や考え方についての研修を行っていますし、社内だけでなく社外の研修にも積極的に参加できるようにしています。マネージャーからリーダーへ、リーダーから現場へ、会社の理念が浸透していくような組織作りが理想です。NTSロジには誰もが挑戦し、成長できる環境が整っているので、自ら目標を持って取り組みたい人にはやり甲斐のある職場だと思います。

採用や離職防止のためには、
企業の側も誠実な態度で接するべき。

それだけ意欲のある社員の採用はどのように行なっているのですか?

笠原社長地域にもよりますが、比較的応募はある方だと思います。採用活動において大切なのは、企業側も面接の段階から正直に求職者と接することだと思います。せっかく応募して入社してもらったのに、「入社前に聞いていた条件と違う…」と思わせてしまっては非常に残念です。

求職者が求めるものは、お金はもちろんのこと、労働時間や休暇など多岐に渡ります。採用を急ぐ企業は条件を曖昧にしてしまいがちですが、当社では求職者に応えられること応えれないことを正直にごまかさずに伝えています。面接の場で電卓を手に取り、あなたに紹介できる仕事はこれぐらいの給料です、と具体的に明示しています。そのため、当社では「入社の前後でギャップがあった」という声はほとんどありません。

人材不足に悩む運送業界では離職率の高さが深刻です。NTSロジではどのような離職防止対策を行なっていますか?

笠原社長離職を防ぐための取り組みは大きく分けて3つあります。

ひとつはドライバーの生活環境に合わせた出勤ローテーションを組むこと。半年ごとの面談と毎月の定例会があり、ドライバーと意思疎通を図って過剰な長時間労働をさせないように管理をしています。

ふたつめは、ドライバーの賃金体系を基本的に時間給とした上で、評価制度を導入していることです。これによって、ドライバーの成績や貢献度に応じて賃金の変動が可能となり、公平な報酬体系が確立できています。ドライバーの努力やスキル向上が報酬に直接的に反映される仕組みが整っているのです。

3つめは、従業員のモチベーションを高め、長期的なキャリアパスをサポートするために、年に一度の昇給制度も設けていることです。毎年昇給のチャンスがあるので、ドライバーは継続的にスキルを向上させ、自ら経験を積んでいきます。より高い賃金を獲得したいと思う意欲のある社員に対して、しっかりとその機会を提供することが離職防止に繋がるのです。

ドライバーの安全と健康を考えるのは
企業として当然の責任。

運送業界が直面する2024年問題にはどのように取り組んでいますか?

笠原社長まず前提として私どもは長時間の仕事が少ない地場配送がメインなので参考になるかわかりませんが、当社として最初に行ったのは現状の労働時間の正確な把握でした。2024年までにはまだしばらく時間がありますし、この機会に現状をしっかり把握して、改めて日々の管理と指導を徹底して継続することにしました。そして管理者とドライバーが協力し合える体制作りを始めました

例えばあるドライバーが労働時間を超過しそうになった場合、労働時間に余裕がある別のドライバーが代わりに出勤したり、輸送距離が短いコースに変更したり、お互いが協力しあって法令で決められた時間を守るように意識しています。ただし、労働時間が減って給料も下がってしまってはドライバーにとってプラスになりません。残業を減らしてもなんとか給与が変わらないように、会社として取り組んでいる旨をドライバーにも説明しています。

そもそもの話、なぜ2024年問題が起こるのかと言えば、ドライバーの皆さんに1日でも長くこの業界で健康に働いていただくことが目的なのです。労働環境が改善されれば、我々の業界に新しい人が入ってくるチャンスでもあります。そのために国も運送業の長時間労働をやめようと言っているわけですから、NTSロジは当然それに従います。

長時間労働をやめたらドライバーの給与が下がると言う人もいますが、ドライバーの給与を上げるための交渉を会社が荷主さんとしっかり行うこと、そしてその前提として「他のドライバーではダメだ」と荷主さんに思っていただけるぐらいドライバーの質が高いことが必須だと思います。現実問題として、簡単に替えが利くような質の低いドライバーでは荷主さんとの交渉は難しいでしょう。そのためにも、人材の育成と営業力の向上、このふたつが2024年問題を乗り切るためのポイントだと考えています。

そうは言っても運賃交渉や契約条件の変更は困難ではないでしょうか?

笠原社長標準的な運賃と、当社独自の原価積上げ運賃の両方を提示して、その差額が自社努力であることを理解していただき、こちらの提示した運賃で契約をしてもらえるように諦めずに継続的な交渉を行っています。そのためにも、正確な労働時間を把握することが重要なんです。

荷主さんとの交渉を成功させるポイントは?

笠原社長現場の品質とドライバーの品格だと思っています。NTSロジのドライバーは他社のドライバーとは違うよね!と思っていただけることが運送会社のブランディングです。自社のブランド力を高めることと、労働時間や走行距離など、根拠のある正確な数値を提示できることが、交渉を有利に進めるためのポイントだと思います。

勤怠ドライバーで実態を可視化したら、
コミュニケーションが取りやすくなった。

勤怠ドライバーを導入して、業務にはどのような影響がありましたか?

建部様以前は、タイムカードで勤怠管理を行っていましたが、勤怠ドライバーを導入したことによって、すべてオンラインで一元管理できるのでとても楽になりました。業種柄、事務所に来なくても労働時間のカウントができるのは便利ですし、勤怠ドライバーで勤怠状況が可視化されることによって、管理者がドライバーの労働時間に対してより気を使って密にコミュニケーションを取るようになりました。

斉藤様弊社はドライバー以外の作業員もおりますので、職種ごとに他社がどのように勤怠ドライバーを活用しているかを知りたいです。また、日々新しいニーズが生まれるので、定期的に要望のヒアリングの機会を設けていただければ、たくさん意見が集まって、より業界のために役に立つシステムになるのではないでしょうか。

2024年問題に備えて、もっと勤怠ドライバーを使う運送会社が増えてくれるといいですね。コンプライアンスを遵守して正しいことを行っている会社が増えていかないと、業界の価値は高まってこないと思います。勤怠管理は採用や定着にも直結しますので、ドライバーが長く働ける環境づくりを行うためにも必要なツールだと思います。勤怠ドライバーの今後に期待しています!

笠原社長はロジ勤怠システムの役員も兼任されています。どのような想いで創業されたのですか?

笠原社長ドライバーの皆さんの働く環境を整えていきたい、安心・安全をドライバーに提供したいという想いで、仲間と共に10年前に創業した会社がロジ勤怠システムです。

2024年問題の兼ね合いでここ数年ドライバーの労働時間が注目されていますが、この問題は今に始まったことではなく、創業当時からドライバーの皆さんに長く安心して働いていただくために業界のルールに則った管理が必要だと考えていました。勤怠管理のサービスはたくさんありますが、運送業界は勤務スタイルも勤務時間も一般の企業とは大きく異なります。そのため、業界に特化した勤怠管理システムが必要だったんです。

今後、より多くの運送会社さんにご利用いただくことで、業界全体が良くなればと思っております。我々の業界は中小企業で成り立っておりますが、公表されている数字のほとんどは大手企業のものなので、なかなか改善が進まない実態があります。そこで、しっかりとデータを活用して、胸を張って国に交渉ができるようできるようになれば、業界自体の地位向上にもつながるのではないかと信じています。

よく利用する勤怠ドライバーの機能

勤怠スケジュール

全社員の勤怠状況がひとめでわかるのが便利

車両管理

さすが運送業界専門のシステム、かゆいところに手が届く!

株式会社NTSロジ

設立
1971年12月1日
従業員
500名(グループ全体)
業務内容
幹線輸送
地場配送(四温度帯対応)
物流センター運営
仕分・保管業務
流通加工業務

※ 取材時の情報です。最新の情報は企業の公式サイトをご確認ください。