2024年問題に向けて 改正改善基準告示変更ポイント

2024年問題に向けて 改正改善基準告示変更ポイント

社会保険労務士 行政書士
株式会社 瀧澤・佐藤事務所
代表取締役 瀧澤 学(MANABU TAKIZAWA)

昨年は 12 月 23 日、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)が一部改正されました。これは、働き方改革により、トラックドライバーの残業時間が年間960 時間に制限されるのを受けて、行われたものです。改正にあたり、トラック運送事業が「過労死ナンバー1 業界なのだから、これをどうにかしなければならない」という考え方が、強く働きました。

一部改正にあたり、その具体的な考え方を示した通達も一緒にでました(令和 4 年 12 月 23 日基発 1223 第 3 号)。この通達はいわゆる改善基準告示を守る上でのマニュアルになりますので一度ご覧になってください。

今日はこの通達を抜粋しながら、告示の変更ポイントについてコメントしてみます。

  1. 改正の趣旨及び概要
    「しかしながら、運輸・郵便業においては、過労死等のうち脳・心臓疾患の労災支給決定件数が全業種で最も多い業種である等、依然として長時間・過重労働が課題になっている。……」
    ⇒今回の改正は、時間外労働の削減や過労死防止の観点から行われたことがわかります。
  2. 個人事業主等の取扱い
    「国土交通大臣が告示で定める基準(改善基準告示を引用したもの)に従って……(略)、個人事業主等である運転者にも適用され、実質的に改善基準告示の遵守が求められるもの」
    ⇒今回、いわゆる貨物軽の運送(個人事業主)にも告示を守ることが必要なことを明示しました。
  3. トラック運転者の拘束時間等
    (1) 「拘束時間が 284 時間を超える月は 3 カ月を超えて連続しないこととし、1 カ月の時間外・休日労働時間数が「100 時間未満」となるよう努めることとしたこと」
    ⇒これからは、1 カ月の拘束時間が 285 時間以上の月は 3 カ月までしか連続できなくなります。これは、かなり大変なルールとなります。又、過労死の労災認定基準を取り入れて、時間外プラス休日労働で、100 時間未満として何とか過労死を防ぎたいというニュアンスが入りました。

    (2) 「自動車運転者の一週間における運行がすべて長距離貨物運送」
    ⇒1 週間=7 日間となりますので、今回、この定義をすることで、国交省告示の中の 144 時間ルール(24 時間×6 日)とのギャップが起きるので、国交省告示が変更されることになる予定です。

    (3) 「連続運転時間は「4 時間以内」とし、(略)、「駐車又は停車できないことによりやむを得ず連続運転時間が「4 時間」を超える場合には、「4 時間 30 分」まで延長することができること」
    ⇒今回、やっと、高速道路の S.A.、P.A.満車でとまれない時に 4 時間をオーバーしてしまう違反について、+α を認めてもらえました。

    (4) 「連続運転時間(1 回が「おおむね連続 10分以上」でかつ、合計が「30 分以上」の運転中断)……(略)」
    ⇒「おおむね」と書いたことで、10 分未満の中断であっても、連続 2 回までは違反とはならなくなりました。これは、ドライバーが時計を見て「10 分たったからスタート!」と動いたところ、デジタコでは 9 分と記録された場合、これだけで違反とするのはおかしい(当たり前です!)との判断からです。

    (5) 「予期し得ない事象への対応時間」の取扱い
    ⇒今回、故障、事故渋滞、悪天候などで 1 日の拘束時間をオーバーした時には、これらへの対応時間はマイナスすることができるとしました。ただ、記録が必要となりますのでご注意ください。

    (6) 「休息期間の分割の特例」
    ⇒今回、1 回当たりの休息期間が 4 時間から 3 時間に短縮されました。これは長距 離トラックの現状に合わせて変更していただいたのは大変ありがたいことですが、合計の休息期間が、2 分割までなら 10 時間、3 分割なら 12 時間となったので【3 時間+7 時間】、【3 時間+3 時間+6 時間】の考え方が必要となります。

    (7) 2 人乗務の特例
    「例えば、運転席の上部に車両内ベッドが設けられている場合、その車両内ベッドにおいては、安全な乗車が確保できないことから、2 人乗務において使用することは当然に認められない」
    ⇒今回、車両内ベッドの位置について議論がされ、走りながら運転席上部のベッド に寝ると、事故などが起きると大変なので、これはダメだということになりました。

今後、厚生労働省、そして全日本トラック協会から改善基準告示の Q&A が出される予定です。 これらを見ながら、2024 年 4 月スタートに向かって準備を進めていきましょう。

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